点滴のルート確保がうまくいかず、患者さんの腕を前に手が止まってしまう。新人のうちによくある悩みです。失敗が続くと、点滴の指示が出るだけで気持ちが重くなりますよね。
- 血管がどこにあるか分からない
- 刺す角度がつかめない
- 失敗が怖くて手が震える
- 先輩に交代を頼むのが気まずい

点滴のルート確保がどうしても苦手で、毎回すごく緊張します。

私も新人の頃は苦手でした。血管は目で探すより、指で触って感じるのがコツですよ。
この記事では、現役看護師で副主任として新人教育にも関わる筆者が、新人に伝えているルート確保のコツを4つ紹介します。なお、実際の手技は勤務先の手順と指導者の指示に従って行ってください。
点滴が苦手な新人がつまずく理由

コツの前に、新人がどこでつまずきやすいのかを整理しましょう。新人のルート確保を見ていると、うまくいかない原因はいくつかに分かれます。原因が分かれば、直すところもはっきりします。自分に当てはまるものがないか、確かめながら読んでみてください。
刺す角度が血管に合っていない
新人を見ていてよく感じるのが、刺す角度のつまずきです。
針の向きが血管の走りとずれていると、血管の中をまっすぐ進めません。血管に沿ってまっすぐ刺せていないことが、失敗の大きな原因になっています。
目で血管を探そうとしている
血管を目で探そうとするのも、つまずきやすいポイントです。
見える血管が、刺しやすい血管とは限りません。血管は見て入れるものではなく、触って感じるもの。筆者が新人に最初に伝えている考え方です。
失敗が怖くて手が止まる
技術よりも、気持ちの面でつまずく新人も少なくありません。
失敗したら患者さんに痛い思いをさせてしまう。そう考えるほど、手は固くなります。怖いと感じるのは、患者さんを大切に思っている証拠でもあります。怖さとの付き合い方は、後半で詳しく書きました。
ルート確保のコツは見るより触る

1つ目と2つ目のコツは、血管の探し方です。筆者が新人に伝えているのは、目で見るより先に指で血管を確かめることです。見るより触る。これが筆者の伝えたいいちばんのコツです。厚生労働省の新人看護職員向けの資料にも、指の腹で感触を確かめて覚えていくよう指導する例が載っています。
血管は目ではなく指で探す
駆血したら、まず指の腹で血管を触ってみてください。
見た目では分かりにくい血管も、触ると弾むような感触で場所が分かることがあります。「ここに刺す」と決めたら、その感触を指で覚えておく。この積み重ねが、血管を探す力になっていきます。
なお、資料では駆血は2分以内で行うこととされています。触って探す時間も含めて、長くなりすぎないよう注意しましょう。
触って血管の向きを確かめる
触って確かめたいのは、血管の場所だけではありません。
血管がどちらに伸びているか、まっすぐな部分がどれくらい続いているかも指で分かります。留置針より長く、まっすぐな血管を選ぶことが、刺したあとに針を進めやすくするポイントです。
刺す場所より入れた先まで見る
刺す一点だけに集中しないことも大切です。
刺す場所ばかり見ていると、針を進める方向と血管の向きがずれやすくなります。刺す場所ではなく、針を入れた先まで見る。血管の続く先を意識すると、針の向きが自然と血管に沿っていきます。
刺す前の固定と角度のコツ

3つ目と4つ目のコツは、刺す直前の準備と角度です。血管を見つけても、刺す瞬間に血管が逃げてしまえばうまく入りません。刺す前に血管を動かないようにしておくことで、角度も安定します。ここは手の使い方で大きく変わる部分です。
末梢側の血管をしっかり押さえる
刺す手と反対の手は、刺す場所より末梢側の血管を押さえます。
押さえ方が弱いと、針が触れた瞬間に血管が横へ逃げやすくなります。指先側の血管を、しっかり押さえることが、まっすぐ刺すための土台です。
皮膚を引いて血管を動かさない
押さえると同時に、皮膚を末梢側へ引きます。
皮膚がたるんでいると、血管も一緒に動いてしまいます。皮膚を引いて張らせると、血管が固定されて刺しやすくなるのです。厚生労働省の資料でも、皮膚を末梢へ伸ばしてから針を刺す手順が示されています。
血管に沿ってまっすぐ刺す
最後は角度です。針は血管の走りに沿って、まっすぐ刺します。
角度の目安は、皮膚に対して5〜20度くらいとされています。大切なのは数字よりも、血管の向きに沿っていることです。資料でも、角度は血管の状態や走りに合わせて調節するとされています。
- 末梢側の血管を押さえている
- 皮膚を末梢側へ引いている
- 針の向きが血管に沿っている
失敗が怖いときの考え方

コツが分かっても、失敗が怖い気持ちはすぐには消えないでしょう。筆者も新人の頃は、ルート確保が苦手でした。怖さをゼロにするより、怖くても動ける準備をするほうが現実的です。ここでは、気持ちを楽にする考え方を紹介します。
2回失敗したら交代する決まり
筆者の職場では、2回失敗したら交代することにしています。
これは、患者さんの負担を増やさないための決まりです。失敗しても、次は誰かが引き継いでくれる。そう分かっているだけで、1回目に向かう気持ちはかなり軽くなります。
筆者も新人の頃は苦手だった
今でこそルート確保を嫌だと感じなくなりましたが、新人の頃は苦手でした。
苦手だった時期があるからこそ、新人の不安はよく分かります。苦手なのは、あなただけではありません。今できないことは、これから身につけていけばいいのです。
医師に直接コツを教わった経験
筆者が苦手を抜け出したきっかけは、上手な医師に直接コツを教わったことでした。
一人で悩み続けるより、上手な人に聞いてみる。苦手なうちは、上手な人に直接コツを聞くのが近道だと感じています。
厚生労働省の資料でも、緊張や不安が強い場合は、次のように段階を踏んで指導する例が示されています。
- 見学する
- 一緒に行う
- 見守りのもとで行う
- 一人で行う
ルート確保のよくある質問

最後に、ルート確保についてよく聞かれる質問をまとめました。気になるものだけ読んでも大丈夫です。施設ごとの決まりがある内容は、必ず勤務先の手順を優先してください。ここでの回答は、筆者の経験と公的な資料をもとにしています。
血管が見えない人はどうする
見えなくても、触ると分かる血管があります。まず指の腹で探してみてください。厚生労働省の資料では、血管が出にくい場合に腕を下げる、手を握ったり開いたりしてもらう、といった方法も紹介されています。
何回失敗したら交代するか
筆者の職場では2回です。ただし決まりは施設によって違うため、勤務先のルールを確認しましょう。資料では、刺し直すかどうかは患者さんの意思と、看護師自身の緊張の度合いを考えて判断するとされています。
刺す角度が分からないときは
目安は皮膚に対して5〜20度くらいです。ただ角度の数字にこだわるより、針の向きが血管に沿っているかを意識してください。刺す場所ではなく、入れた先まで見るのがコツです。
交代を頼むのは恥ずかしいことか
恥ずかしいことではありません。交代は、患者さんの負担を減らすための大切な判断です。無理に続けず早めに頼むことは、患者さんを守ることにつながります。
苦手意識はなくなるのか
筆者の場合はなくなりました。新人の頃は苦手でしたが、今はルート確保を嫌だと感じません。厚生労働省の資料でも、点滴静脈注射を習得するまでの期間は6か月〜1年が目安とされています。焦らず続けていきましょう。
まとめ

ルート確保のコツは、血管を目で探すのではなく、指で触って感じることです。見るより触る、そして入れた先まで見る。この2つを意識するだけでも、刺し方は変わってきます。
- 血管は目ではなく指で探す
- 刺す場所より入れた先まで見る
- 末梢側を押さえて皮膚を引く
- 血管に沿ってまっすぐ刺す
- 苦手なうちは上手な人に聞く
最初から上手な人はいません。次のルート確保では、刺す前に一度指で血管に触れてみてください。新人の時期の過ごし方は1つ目、新人を教える立場の人は2つ目の記事も参考にしてください。




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