夜勤がつらい。そう感じても、口に出しにくい空気が現場にはあります。みんなやっていることだから、自分だけが弱音を吐くわけにいかない。そう考えて抱え込んでいる人は少なくありません。ただ、体がもたないと感じているなら、それは放っておいてよい問題ではないはずです。
- 夜勤明けに体力が戻らない
- 眠れない日が続いている
- 夜勤前から気持ちが重い
- この働き方を何年続けられるか不安

夜勤を減らしてほしいと言いたいのですが、わがままに思われないか心配です。

わがままではありません。ただ、職場の中で減らすことには限界があるのも事実です。
この記事は、2交代で月4回から6回の夜勤に入っている副主任の立場から書いています。シフトを組んでいるのは師長で、筆者が作っているわけではありません。ただ、夜勤を減らしたいという相談が出たとき、現場がどう動くのかは近くで見ています。減らす方法と、その限界。そして職場を変えるという選択肢までを順番に整理しました。
夜勤がつらいのは甘えではない

まず前提を確認しておきます。夜勤がつらいと感じることは、体力や気持ちの問題ではありません。人の体は本来、夜に眠るようにできています。そこに逆らって働くのですから、負担がかかるのは当然です。ここでは2交代という働き方が実際にどういうものか、数字で整理しました。
2交代という働き方
2交代の夜勤は、夕方から翌朝まで続きます。拘束時間は16時間前後になることが多く、仮眠が取れるかどうかは配置人数と患者さんの状態次第です。
3交代に比べると出勤回数は減りますが、1回あたりの負担は重くなります。どちらが楽かは人によって分かれるところでしょう。
共通しているのは、夜勤明けの日は休みではないということです。帰宅して眠れば、その日はほとんど終わります。
月4回から6回という回数
筆者の場合、夜勤は月に4回から6回です。これは一般的な範囲だと思います。
ここで知っておきたいのが、夜勤と日勤の関係です。夜勤が増えればその分だけ日勤が減り、夜勤が減れば日勤が増えます。勤務の総数は変わらないからです。
つまり夜勤を減らすことは、楽になることと完全には一致しません。日勤の回数が増えれば、連勤が増えることもあるでしょう。
体への負担は個人差が大きい
同じ回数でも、こたえ方は人によってまったく違います。
夜勤明けでもすぐ回復する人がいる一方で、2日経っても戻らない人がいます。年齢や家庭の状況によっても変わってくるでしょう。
だからこそ、周りと比べて判断する必要はありません。他の人が平気でも、自分がつらいなら、それは事実として扱ってよいのです。
職場の中で夜勤を減らせるか

転職を考える前に、今の職場でできることがあります。実際、相談して回数を調整してもらえた人もいました。ただし、ここには知っておくべき現実がひとつあります。自分の夜勤が減れば、その分は誰かに回るということです。この構造を理解していると、相談の仕方も変わってきます。
まず師長に相談する
勤務表を作っているのは、多くの病棟で師長です。
つまり夜勤の回数を調整できる立場にいるのは師長になります。同僚に相談しても状況は変わりません。言いにくくても、調整の権限がある人に直接伝えるのが唯一の方法です。
伝えるときは、つらいという感覚だけでなく、具体的に何が起きているかを添えると話が進みやすくなります。
減らす理由として多いもの
実際に相談の理由として多いのは、体調面と精神面です。
- 睡眠が取れず体調を崩している
- 気持ちの落ち込みが続いている
- 育児や介護との両立が難しい
- 通院や治療が必要になった
また経験年数によっても扱いは変わります。入職して間もない時期は教育の段階に合わせて調整されることがありますし、逆に経験を積んだ人はリーダー業務の関係で回数が決まる場合もあるでしょう。
誰かが増えるという現実
ここが最も伝えたい部分です。夜勤を減らしてもらうということは、誰かの夜勤が増えるということです。
病棟に必要な夜勤の人数は決まっています。総数が変わらない以上、誰かが抜ければ、その穴は他の誰かが埋めることになります。
これは相談してはいけないという意味ではありません。ただ、この構造がある以上、職場の中で減らせる量には上限があります。何人も同時に減らすことはできないからです。相談しても変わらなかった場合、それは師長の冷たさではなく人員の問題であることが多いのです。
夜勤免除の制度と現場の運用

夜勤については、法律で認められた請求権があります。知らないまま我慢している人もいるので、ここで整理しておきます。ただし制度があれば必ず通るというわけではありません。条文には但し書きがあり、そこが現場の運用に直結しています。
法律で認められた請求権
育児・介護休業法の第19条に、深夜業の制限という規定があります。小学校就学前の子を養育する労働者が請求した場合、事業主は午後10時から午前5時までの間に労働させてはならないという内容です。
介護を行う労働者についても、同様の規定が設けられています。つまり育児や介護を理由とした夜勤免除は、法律上の権利です。お願いではありません。
ただし対象外となる場合もあります。雇用期間が1年未満の人や、深夜に子どもを保育できる同居家族がいる場合などです。
事業の正常な運営という但し書き
条文には、見落とされがちな一文が入っています。
- ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない
つまり人員の都合によっては認められない場合があるということです。法律自体が、現場の人員事情を考慮する余地を残しています。
先ほどの「誰かが増える」という話と、ここはつながっています。制度があっても、代わりに入る人がいなければ運用できないからです。
制度を使うときの伝え方
請求する場合は、早めに伝えるほど調整の余地が生まれます。
勤務表は前月のうちに組まれます。直前に申し出ると、すでに決まったシフトを組み替えることになり、周囲への影響が大きくなるからです。
また、いつからいつまでなのかを明確に伝えてください。期間が分かれば、師長も人員の配分を考えられます。曖昧なまま相談すると、判断を先送りされがちです。
夜勤を減らすと収入はどうなるか

夜勤を減らすと決める前に、収入への影響を数字にしておくべきです。感覚で判断すると、後から想定外の差に気づくことになります。夜勤手当は毎月の手取りのなかで大きな割合を占めているからです。ここでは自分の金額で計算できる形にまとめました。
夜勤手当の占める割合
夜勤手当は、基本給とは別に支給されます。金額は病院によって幅があるため、まず自分の給与明細を確認してください。
明細の手当欄に、夜勤手当や深夜勤務手当として記載されているはずです。1回あたりの金額が分かれば、計算ができます。
夜勤は、体力を使って収入を作っている部分です。この金額がなくなったとき生活が成り立つかどうかが、判断の分かれ目になります。
自分の減収額を計算する
計算そのものは単純です。
- 夜勤手当(1回分)× 減らす回数 = 月の減収額
- 月の減収額 × 12 = 年間の減収額
たとえば1回1万2000円の手当で、月4回を2回に減らすとします。差は2回分で2万4000円。年間に直すと28万8000円になる計算です。
この金額を見てどう感じるかが、答えになります。払ってでも体を守るべきだと思えるなら、減らす判断は正しいのです。
日勤が増えるという側面
もう1つ見落としがちなのが、日勤が増えることです。
夜勤が減れば、その分は日勤に置き換わります。勤務日数の総数は変わりません。つまり休みが増えるわけではないのです。
人によっては、日勤が増えたほうがつらい場合もあります。朝が早い、連勤になる、業務の密度が高い。減らす前に、置き換わった後の生活を想像しておいてください。
夜勤が少ない働き方の選択肢

職場の中で調整しきれない場合、働く場所そのものを変えるという選択肢があります。ここでは夜勤が少ない、あるいは夜勤のない職場を挙げました。ただし筆者は病棟以外で働いた経験がありません。一般的な特徴の紹介にとどめます。実際の働き方は職場ごとに差が大きいため、必ず個別に確認してください。
クリニックや外来
夜勤が理由で病棟を離れる人が選ぶことが多いのが、クリニックや外来です。
日勤のみで、日曜や祝日が休みになる職場が多くなります。生活リズムは安定しやすくなるでしょう。
一方で、夜勤手当がなくなる分、収入は下がるのが一般的です。また規模の小さい職場では、人間関係が固定されやすいという側面もあります。
施設や訪問看護
介護施設や訪問看護も選択肢の1つでしょう。
施設は夜勤がある場合とない場合があり、求人によって条件が違います。訪問看護は日中の訪問が中心ですが、オンコール当番がある事業所が多いようです。
オンコールは夜勤とは別の負担です。待機中に呼ばれなくても、気を張った状態が続きます。夜勤がないという一点だけで選ぶと、想定と違う場合があるでしょう。
夜勤専従という逆の選択
逆の方向もあります。夜勤専従という働き方です。
夜勤だけに絞るため、出勤回数そのものは少なくなります。手当が収入の中心になるので、金額が上がる場合もあるようです。
体質的に夜型の人や、日中の時間を確保したい人が選ぶことがあります。ただし生活リズムは完全に夜型になり、家族と時間を合わせにくくなります。夜勤そのものが苦痛な人には向きません。
職場を変える前に確認すること

転職は有力な選択肢ですが、動く前に確認しておきたいことがあります。勢いで決めてしまうと、次の職場でも同じ問題にぶつかるからです。夜勤がつらいという理由は正当ですが、それだけで選ぶと別の負担が待っている場合もあります。ここでは3つに絞って整理しました。
今の職場で打てる手
まず、職場の中でまだ試していないことがないか確認してください。
- 師長に相談したか
- 制度の対象になるか確認したか
- 期間を区切った調整を提案したか
- 配置転換の希望を伝えたか
同じ病院の中でも、外来や他部署への異動という道があります。転職より負担が小さく、給与体系も変わりません。試す価値はあるはずです。
転職後の収入の見通し
夜勤のない職場に移ると、収入は下がるのが一般的です。
求人票の月給だけを見て判断しないでください。今の手取りと比べるには、賞与や各種手当まで含めて計算する必要があります。
年収ベースでいくら下がるのかを出してから、その金額で生活できるかを考える。この順番を飛ばすと、入職後に後悔することになります。
情報をどう集めるか
夜勤の実態は、求人票からはほとんど読み取れません。
月の回数が書いてあっても、1回あたりの人数や受け持ち数までは分かりません。同じ月4回でも、負担はまったく違ってきます。
転職エージェントを使うと、こうした内部の情報を担当者が確認してくれます。自分では聞きにくい質問ほど、間に入ってもらう価値があるでしょう。詳しい使い方は職場の見極め方の記事にまとめています。
看護師の夜勤によくある質問

夜勤について、よく出る質問をまとめました。相談を迷っている段階で引っかかりやすい点ばかりです。気になる項目だけ拾って読んでも構いません。なお職場ごとに運用は違うため、最終的には自分の職場の規定を確認してください。
夜勤を断ると評価が下がるか
相談したこと自体で評価が下がることは、本来ありません。ただし伝え方によって印象は変わります。できない理由だけを並べるより、どこまでならできるかを添えるほうが調整しやすくなるでしょう。
体調不良でも相談していいか
むしろ早く相談してください。倒れてから対応するより、調整できる段階で伝えるほうが周囲の負担も小さくなります。受診している場合は、診断書があれば話は通りやすくなります。
夜勤なしだと給料は下がるか
下がるのが一般的です。夜勤手当は基本給とは別に支給されるためです。どれくらい下がるかは、給与明細に記載された夜勤手当の金額から計算できます。
夜勤免除は誰でも使えるか
法律上の請求権があるのは、小学校就学前の子を養育する人や、家族を介護する人などです。それ以外の理由では、職場の判断による調整になるでしょう。ただし体調を理由に相談すること自体は誰でもできます。
2交代と3交代はどちらが楽か
人によって分かれます。2交代は出勤回数が少ない代わりに1回が長く、3交代は1回が短い代わりに回数が増えるためです。生活リズムの崩れ方も違うので、一概には言えません。
夜勤が嫌で辞めるのは甘えか
甘えではありません。夜勤は体に負担のかかる働き方で、続けられるかどうかには個人差があります。働き方を変えることは、逃げではなく選択です。
まとめ

夜勤を減らしたいという気持ちは、正当なものです。ただし職場の中で減らせる量には限りがあります。誰かが減らせば、誰かが増えるからです。
- 相談先は勤務表を作る師長
- 育児と介護には法律上の請求権がある
- ただし事業の運営状況による但し書きがある
- 減収額は給与明細から計算できる
- 夜勤が減れば日勤が増える
まずは師長に相談してください。それで解決するなら、転職という大きな決断は必要ありません。相談しても変わらず、体がもたないと感じるなら、そのときが働く場所を変える段階です。我慢し続けて体を壊すより、ずっと健全な判断だといえます。
職場を変えることを考え始めたら、こちらもあわせてご覧ください。



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